[最新版]栢木先生のITパスポート教室 2021年版の感想・評価・レビュー

こんにちは、三島某「@mishima_books」です。
今回は「栢木先生のITパスポート教室」(以降、本書と記載)を読んでみました。
ITパスポートの概要や本サイトのレビュー方法について知りたい方は「ITパスポート レビューの考え方」を一読してください。
「栢木先生のITパスポート教室」はどんな本?

テクノロジー分野では屈指のクラシックな参考書です。問題集は同時に買うか、過去問をサイトで探すなどの工夫が必要です。
総合評価:3.0

発行元 | 株式会社技術評論社 |
著者 | 栢木 淳 |
初版発行 | 2020年12月10日 |
定価 | 1,580円 |
ホームページ | 技術評論社公式サイト |
電子書籍版 | 有 |
その他 | – |
こんな人におすすめ
- テクノロジー分野を得意になりたい方(苦手な方向けかは割と別な問題)
- IT業界の実務系のおさらい、入りたての新人諸君
こんな感じで使って欲しい
テクノロジー分野が苦手な方
- 本書は合格するための学習プランとして構成されています。順番に進めても良いでしょう。
- 本文の太字(黒字)をしっかりと読み込むとスムーズに問題に移れるようにできています。
- 問題集で分からなかったら部分を本書で調べると良いでしょう。
ITの現場から離れて久しい方/IT業界入りたての方
- 最新の用語が簡潔にまとめられているのでテクノロジーの部分だけでも流し流し読むと勉強になります。
- 第7章までを繰り返し読むことで、当面必要な知識を漏らさず得ることができます。
特にデータベース関係のところ!
購入時のチェックポイント
- 本書は付録など過去問や模試は付いていません。
- ストラテジー系やマネージメント系に割くページ数が少なく文字での説明が多くなっています。
その意味で勉強慣れしていないと厳しいかもしれません。
「栢木先生のITパスポート」を詳しく紹介
本書の大きさや厚さ
本の大きさはA4ノートパソコンが入るかばんであれば大丈夫です。参考書としては標準的な大きさです。
厚さが幾分あるので、小さめのかばんには厳しいです。
ページ数は400ちょっととコンパクトにまとめられていると言えます。
文字の大きさは、ほどほどに大きく読みやすい印象です。
行間は少し狭く文字は多め。1ページあたりの情報量はしっかりある印象です。
本書の構成
本書はITパスポートについての説明に始まり、章ごとに本文が続きます。
そして読者の興味が向かいやすいだろうテクノロジー系の話題から切り込んでいます。
第1章 ハードウェア(テクノロジー)
「栢木先生のITパスポート 令和3年度 目次」参考に整理
第2章 ソフトウェア(テクノロジー)
第3章 システム構成(テクノロジー)
第4章 ネットワーク(テクノロジー)
第5章 セキュリティ(テクノロジー)
第6章 データベース(テクノロジー)
第7章 アルゴリズムとプログラミング(テクノロジー)
第8章 企業活動と法務(ストラテジー)
第9章 経営戦略とシステム戦略(ストラテジー)
第10章 マネージメント(マネージメント)
ストラテジ系の最初がいきなり財務諸表、またたハードウェア系に統計と確率が含まれているというのは、全体として唐突感がのぐえませんでした。
またやはりこの構成だと初学者には厳しいのかなと思いました。慣れている人は気にならないでしょう。
とはいえ一番悪いのはITパスポートのシラバスそのものなんですけどね。。企業活動の後に法務というのはわかるのですが、学習者泣かせです。
やはりきになるのは、テクノロジー系とそのほかのバランスの悪さです。
特にマネージメント系はページ数が少ない関係でイメージも少なくなってしまい、なかなか理解に至るのは難しいのではと思いました。
マネージメント系は問題数が少ないだけに1問1問が大切になるので・・・
とはいえ目次には学習プランを立てやすい学習予定が書き込めるようになっていたりと、学習者に寄り添う工夫はみられたのは老舗の参考書ならではかと思います。

本文について
テクノロジー系屈指の参考書
本書の強みはテクノロジー系へのしっかりとした説明だと思います。最新のシラバスに対応しながら、これまでの出題範囲もしっかり抑えています。
以下はデータベースの主キーについての説明ですが、イメージを使ってしっかりと説明しています。
本来であれば配点的にも用語説明で十分なのですが、どのようなものであるかを専門書並みに記載しています。

またこちらはシステムのバックアップについての記載ですが、こちらもしっかりと説明されています。

IT企業に入ったばかりの新人の方には、この本を1冊読んでもらえれば良いのではと思ってしまいます。
先輩が何のことを言っているのかだいたいわかるようになります!
テクノロジー系については、初学者向けの参考書では記載されてない用語もしっかりと掲載されていますのでテクノロージー系の知識を得るのであれば、本書で十分だと思います。
とにかく太字にフォーカスする
本書では、「条件分/問題文に掲載される文章に近いものを記憶させる」に重きをおいていると言って良いでしょう。
参考書によって、学習者にどうやって勉強してほしいかは異なります。自分にあった学習方法を見つけるのって本当に大切なことです。
ではこの参考書の使い方についてまとめると
- 赤字と黒字の2パターンのハイライトがある。
- 赤字は出題傾向が高い用語、黒字はその説明となる。
- 黒字を読んで、フーンくらいでわかったら、すぐに問題を解くと実践的な学習ができると思います。
では、実際のページを参考に説明しますね。

画像のページでは、「多要素認証」が赤字になっています。もちろん問題に出そうなものはその前後にもあるのですが、全部覚えるのは現実的ではありません。
そこで赤字を読んだ印象で、黒字があればそれも頭の片隅に入れた状態で過去問に移ります。
すると過去問の問題文や選択肢が分からないものから、知った文章になり、ハイライトしていない部分も浮かび上がってきます。

これを繰り返すことで、学習が進んでいきます。このハイライトが多すぎると逆に注意力が散漫になるので、このバランスは本当に大切です。
ページが真っ赤になるような参考書があるなか、本書は選択がしっかりなされており、勉強中の学習者にとって心強い味方になるでしょう。
また各節には、「時々出」・「必須」・「超重要」があります。つまりすでに一度勉強して、自分の苦手分野がどの頻度なのかを確認することができます。
イメージ&クレーバー方式の難しさ
本書の特徴は、読者に対して専門用語のイメージを想起させるイメージ&クレーバ方式なのですが、使い方が難しく感じました。
- イメージ&クレバー方式の説明がありませんでした。
- ”くればで覚える”がどれくらい大事かわかりませんでした。
- ”くればで覚える”に記載内容が単語だったり、説明だったりするので覚えてどう使うか分からない

読者としては、クイズ的な位置付けで利用するのが良いかと思います。
また「もっと詳しく」、「知っ得情報」との位置付けについても説明があればよかったです。
問題について
本書の問題(設問)は、本書内の各節の終わりにいくつかの問題を掲載しています。
本書では、どんな問題が出るのか?を知る機会として割り切っても良いと思います。

また回答の解説が正解のものを中心なのと、解説自体が少ないのが気になりました。
まとめ
「[令和3年版]栢木先生のITパスポート教室」についてのまとめです。
総合評価 | 3 | 本書は、参考書として出題する用語を簡潔かつしっかり説明しており、昔ながらの硬派な内容です。また学習者のテクノロジー系へのとっつきにくさを回避するべく構成を工夫を変えたりするのも素晴らしいと思いました。 しかしストラテジ/マネージメントのページ数が少ないこと、また後ろになるにつれイメージ図少なくなり、用語の説明に終始していたこと、また問題集が付いていないのは残念でした。 |
読みやすさ | 3 | シンプルな表現でしっかり説明しているが、イメージに偏りがあるのが気になる。 |
デザイン | 3 | 適度な行間と空白を使っているものの、説明重視になっていく |
価格 | 3 | 平均的な価格、可もなく不可もなく。 |
役立ち度 | 4 | 出題傾向にそった解説は、効率的な学習を進める。 問題の解説が少ないのが気になる。 ただしIT業界向けにとなると丁寧かつ十分な内容でプラス1 |
ボリューム | 2 | ストラテジー系、マネージメント系がやや少ないのと、問題集が付いていないのは他参考書と比べて残念。 |